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23.10.4
金森美也子さんにお話を伺いました【第2話】
ぬいぐるみ作家・金森美也子さんとリネンバードが一緒につくった、着せ替えぬいぐるみ絵本「おしゃれぐまクゥクゥのたのしい一日」。”金森美也子さんにお話を伺いました”【第2話】は、この本ができるきっかけから撮影中のエピソードなど、金森さん&リネンバードによる「こぼれ話」をお届けします。 また、金森さんにクゥクゥをつくるときのワンポイントアドバイスも教えてもらいました
金森 美也子
Miyako Kanamoriぬいぐるみ作家。1970年神奈川県生まれ。1998年より古着や日用品を使った動物のオブジェやぬいぐるみの制作を開始。展示や書籍で発表するかたわら、ぬいぐるみ作りのワークショップも行っている。著書に「りすが作る、手袋でぬいぐるみ」「白くまワールド」(文化出版局)、「nui-gurumi」(FOIL)、「軍手ネコのつくりかたBOOK」(光文社)、「古着で作るぬいぐるみ」(産業編集センター)などがある。
◇【第1話】はこちらから
■くまがお洋服を着ていたことが、きっかけでした
金森さん(以下 K):この本をつくるきっかけともいえるアイデアを思い付いたのは10年ほど前、リネンバードとのコラボレーション企画でくまのぬいぐるみをつくったときです。 ある日、二子玉川のお店を訪れたら、そのくまがお洋服を着ていてびっくり!お洋服をつくるキットも販売されていて。それが本当にかわいらしくて、それから「着せ替えぬいぐるみの本をつくりたいな」というアイデアがずっと心の中にありました。
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ムーリットの店内で撮影した書籍「古着で作るぬいぐるみ」の展示会の際、リネンバード&ムーリットには、ソーイングも編み物もできるスタッフがそろっているし、一緒に着せ替えぬいぐるみの本をつくりませんか?と最終日に声をかけたのが、この本のはじまりです。
リネンバード(以下L):すぐに「こんな糸で編んでみたい」などでお世話になっている編集者の笠井さんに企画を提案したところ、とんとん拍子で出版に向けて話がまとまっていきました。 本当にスピーディな動き出しだったと思います。
■着せ替えがたのしいストーリーに
K:最初は、くまの家族のおはなしにしようと考えていました。主人公はくまの女の子で、ボーイフレンドはいぬのフラクシィにしよう、というのもすぐに決まりました。 くまのお父さんとお母さんは主人公と同じ型紙の縮尺をすこし大きくすればいいかな、お父さんにはおひげがあったほうがいいよね、学校のシーンも入れたいからクラスメートも考えなくては、などなどアイデアは膨らんでいく一方。 でも「着せ替え」をメインに考えたかったので、くまの女の子とボーイフレンド、ことりに登場人物を絞りました。 キャラクターが決まると、ストーリーはすぐにできました。
お洋服をたくさん見せたくて、ボーイフレンドのフラクシィをお洋服やさんという設定にしました。
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L:最初にぬいぐるみ本体に使うリネン生地を決めて、そこからくまの女の子をつくってもらいました。
K:フラクシィは、以前リネンバードとつくったキット「いぬのフラクシィ」をもとにしていますが、キットとはお顔のスタイルが違います。 ぬいぐるみの試作をはじめたとき、くまの女の子もフラクシィのキットと同じくマズル(鼻先のパーツ)のあるスタイルでつくったのですが……
L:見せていただいたくまのぬいぐるみは、なんとなくお洋服を着こなしているイメージではない気がして、金森さんに相談したんですよね。
K:お洋服が似合うようにくまのデザインをかえることにしました。その子に合わせて、フラクシィも書籍用にデザインを変更しています。マズル(鼻先のパーツ)をお顔と一体化させたのですが、着せ替えするときにお鼻にひっかかることがないので、よかったと思っています。
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K:主人公の名前を決めるのには、ちょっと時間がかかったかもしれません。 候補をいくつも考えて、最終的にはクゥクゥ(フランス語でハローの意味)という、ぴったりの名前になりました。
■お洋服づくりはリネンバードが担当しました
L:ぬいぐるみができたら、ここからはリネンバード&ムーリットの仕事です。 金森さんのラフスケッチをもとに、イメージを膨らませて実際に手を動かしていきました。 中でもクゥクゥのボネットは、金森さんのイラストのイメージをそのままかたちにしようと、あれこれ試作しました。
K:クゥクゥの頭にバンダナとか何かをかぶせたいなと思って、何気なくイラストを描いたら、本当にかぎ針編みのボネットができていました。
L:はじめは赤ずきんがかぶっているようなものにしたのですが、ちょっとごついデザインになってしまったので、改良してあたまのかたちにあわせた「クゥクゥ型ボネット」になりました。
お洋服や小物はすべて、フラクシィのお洋服屋さん「Flaxy's」の 商品という設定で、細部にこだわりを詰めこんで、とてもたのしくつくることができました。
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■ぬいぐるみのおしゃべりが聞こえる、キッチンミノルさんの写真
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K:キッチンミノルさんご自身も写真絵本をつくるので、ストーリーを大切にして撮影してくれました。 ぬいぐるみ全身がわかる写真だけでなく、縫い目がわかるくらいのアップもあって。ぬいぐるみたちの気持ちにあわせて構図がかわり、本当におしゃべりが聞こえてきそうな写真になっています。
また、こどもたちが好きそうな、細やかなポイントも写真に散りばめています。たとえば「ことりはどこで寝るの?」というキッチンさんの疑問から、インテリアにあるものを加えるなど。ストーリーを追うだけでなく、ページのすみずみまでたのしめる絵本になったと思います。
クゥクゥのお部屋以外は、リネンバードやリゼッタカフェなど、実際のお店を使っていますが、キッチンさんは背景やキャラクターらしい小道具など、その場にあるものを取り入れて撮影してくださいました。
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L:キッチンさんが撮影している様子をみていると、本当にぬいぐるみたちがいきいきと感じられて。驚きの連続でした。
K:クゥクゥもさまざまな表情をみせるため、撮影にはたくさんのお人形をつくっていますので、じっくりと写真を味わってくださいね。
■ちょっぴりお手本と違っても、味があってかわいい
L:さいごに、これからクゥクゥはじめ、ぬいぐるみをつくる方にワンポイントアドバイスはありますか?
K:綿を詰めるのに、すこしコツがあります。 手足はすこしずつ、様子をみながら詰めます。 頭とからだは、しっかりと綿を詰めていきます。角にきれいに綿が入るよう、棒などできゅっと詰めてから、まんべんなく綿を入れましょう。からだを押してみて、へこんだり、指のあとが残るようならまだまだです。 頭とからだにたくさん綿をつめてから首をつけていくと、着せ替えのしやすいしっかりとしたぬいぐるみに仕上がります。
また、お顔の刺しゅうが見本どおりにできない、という方がいるかもしれません。 ちょっと本と違うかな?と思ったとしても、味わいになってかわいいので大丈夫。 あなただけのクゥクゥ(フラクシィ/ことり)こそ愛着がわくはずですので、無理にやり直さなくてもいいと思っています。 もしお顔の刺繍が難しかったら、ボタンにしてもかわいいですよ。
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カテゴリ:リネンバード, リネンバードハバーダッシェリー
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