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17.11.27
《つくり手ファイル》「息、白むころ。」/ガラス作家keino glass さん
「冬の森が好きなんです」そう話すガラス作家keino glassさんがつくる作品は、夏だけでなく寒い季節にも合うガラスがあることを教えてくれる。深い冬の森をイメージしたkeino glassさんのオブジェと、キャンドル作家un jourさんのソイワックスのキャンドルが、クリスマスシーズンのshedを彩ります。※こちらの展示会は終了しました。
■ガラスの中に描く、冬の森
駅からの坂道を登り、背の高い木に囲まれた公園の向かいにkeino glassさんのお宅はありました。
南からそして東から気持ちいい風が通りぬけ、猫たちが気持ちよさそうに寛ぐ日当たりのいい家。古い家具や道具に囲まれた静かな時間が流れる一室で、ガラスの世界の森は描かれます。
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▲仕事部屋のデスクに並ぶオブジェの数々。「子供のころからクリスマスツリーへの憧れがあって、ガラスの作品にもみの木を描いたことがはじまりなんです」
「自分でも、なぜこれほどまでに冬の森に惹かれるのかわかりません。しんと静かな雰囲気を表現したくて描いています」
版画家だった祖父の影響か、常に絵を描いていた幼いころ。
いつも自然は身近なところにありました。
今でも森の空気を吸いたくなるのは、そのせいかもしれません。
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▲リューターという針のついた機械で掘っていく。1つ描くのに2、3日、1週間かかる作品も
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▲光を照らすとくっきりと浮かび上がる。耳をすますと降り積もる雪の音が聞こえてきそうです
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▲森をひとりじめするのは冬眠をしない動物。どんな季節よりものびのびしているよう
■工房にもお邪魔しました
吹きガラスで小さなおうちをつくる様子を見せてもらいました。
ふーっと吹いてつくるイメージがありますが、オブジェの制作に使うのは「ポンテ竿」という穴のあいていない竿。息は吹きこまずにガラスを巻きつけながらつくっていきます。
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▲作家歴15年近くになるkeino glassさん。手を使ってものをつくりたくなり、映像制作の仕事からガラスの世界へ。写真は竿を回しながら溶解炉から、ガラスを巻き取っているところ
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▲一瞬で硬くなってしまうガラスのかたちをすばやく整えて、再び炉の中へ。「やったことないなんてもったいない!」と体験させてもらったのですが、ガラスが言うことを聞かずにいびつなかたちに。こんな風に鮮やかにガラスを操るには技術が必要なのです
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▲かたちができたら500度くらいに保温された徐冷炉に入れ、一晩かけてゆっくりと冷却。ここから底や屋根を削ったり、かたちを整えて完成。それぞれのかたちを見てイメージしたものを描いていきます
■森にたたずむ山小屋で
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▲融点が低いため、液体になってその上に火が灯るソイワックスキャンドル。ゆらゆらと揺れる姿を見ていると時を忘れます
展示会ではガラスとともに、キャンドル作家un jourさんの作品もご紹介します。
一つ一つにテーマをもった、まるで物語のようなun jourさんのキャンドル。今回用意してくれる作品の一つが「月と深呼吸」。キリストの誕生に贈られたというフランキンセンスに、サイプレス、シダーウッドの3種類によるブレンドです。
大豆のワックスと天然のエッセンシャルオイルでつくられたキャンドルは、食卓に置いても気にならないほんのり自然な香り。芯が木なので、パチッパチッと暖炉にくべた薪がはぜるような音をたてます。
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▲茶の湯と華道に携わっていたun jourさん。「花を生けるように灯りを生けるイメージで、keino glassさんとご一緒させていただきます」
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▲クリスマスシーズンにちなみ、ヤドリギのオブジェとキャンドル
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▲鳥の巣で見つけた卵みたい。フィンランドモスという植物に包まれたキャンドル
会場となるshedを、森にたたずむ山小屋に見立てた今回の展示。
雪に覆われた森の中で見つけた、キャンドルの灯りがこぼれる家。
扉の向こうには。寒さを忘れさせてくれるあたたかな作品がみなさまを待っています。
●keino glass 個展/「息、白むころ。」
2017年12月7日(木)から13日(水)
11:00-19:00(最終日は17:00まで)
shed(東急田園都市線、大井町線二子玉川駅から徒歩3分)
※こちらの展示会は終了しました。
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