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19.07.05

《リゼッタのアトリエを訪ねて》LISETTE×moonSTAR

リゼッタスタッフに聞いた、服づくりのことやおしゃれのことをお届けする「リゼッタのアトリエを訪ねて」。今回はスニーカー「LISETTE×moonSTAR」のお話。コラボレーションスニーカーはmoonSTARのものづくりに共感し、誕生しました。
※この記事は、リゼッタのホームページに掲載の記事を加筆・再編集したものです。

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■リネンのスニーカーができるまで

1873年創業の老舗靴メーカー「moonSTAR」(ムーンスター)。子供の頃、上履きを使っていた方も多いのではないでしょうか。

「まさか自分たちがスニーカーをつくるとは考えていなかった」とはリゼッタのデザイナー。けれど moonSTAR のものづくりの姿勢に共感し、この会社となら自分たちのつくりたいものがつくれると思ったそうです。

スニーカーをつくるなら、素材はリネンで。厚手のものや薄手のもの、平織や綾織などさまざまなリネン生地を選び、試験にかけてもらいました。

スニーカー用に使えるかどうかは、屈折20万回の強度テストに合格しなければいけません。もともとリネンは摩擦に弱い素材なので、案の定ほとんどが不合格。

その中で厳しい基準をクリアしたのが、打ち込みの強めなベルギーリネンでした。

■リゼッタの洋服に合うように

スニーカーづくりにあたって大切にしたのは、リゼッタの洋服に合うこと。

洋服に数多く取り入れている大切な色、グレーがかったような白「アンティークホワイト」とシックな黒「ノアール」は絶対につくりたい色でした。

スニーカーの紐を通すハトメは小さく、細かくつけてもらいました。ろう引きの細い紐を細かくクロスさせることで、スニーカーの表情も大人っぽい仕上がりに。

ステッチ糸の色にも小さなこだわりが。アンティークホワイトは生地に近い薄いグレー色を、 ノアールは生地の色にステッチが埋もれないように濃いめのグレーを選びました。

ベロの端は敢えて切りっぱなしに。 きちんと端にステッチが入っているので、これ以上ほつれないのでご安心を。

かかとにはカラーパッチをつけました。生地色に合わせて、ノアールにはボルドーを、アンティークホワイトにはブルーを。

こうして、最終サンプルが完成した時には一年以上の時間が流れていました。

■工場を見学させてもらいました

moonSTAR の本社があるのは、福岡県久留米市。大正6年(1914年)に建てられた建物は今でも社長室や応接室として使われています。

その向かいには、のこぎり屋根の工場。ここでリゼッタのスニーカーは、つくられています。

スニーカーはまずはゴムづくりから。天然ゴムは弾力性はありますが、寒いと固まりやすく油に弱いので、合成ゴムや硫黄を加えていきます。

くるくる回るロールに原料を入れ、時折職人さんがナイフで切れ目を入れながら混ぜ合わせると、見る見るうちに表面がなめらかに。

リゼッタが選んだリネン生地の裏には、コットンキャンバスの生地を貼って補強します。

20万人以上の日本人の足型をもとにつくられた靴型に、スニーカーの生地をかぶせ、ペンチのような道具でひっぱりながら中底に接着していきます。

多くの海外生産のスニーカーはこの工程を機械で行いますが、 moonSTAR では手作業。

人の手によって包み込むことによって、足入れしやすいゆとりを生むことができ、甲高幅広の日本人の足に合った履き心地のよい仕上がりになるのだそうです。

その後、つま先や靴底、それらを接着するテープなどのパーツを順番につけていきます。

接着剤もゴムに溶剤を混ぜたオリジナルで、はがれにくい工夫がされています。

これでできあがりのように見えますが、この段階ではゴムは強く伸ばすと切れてしまうほどまだ柔らかい状態。

この後、窯に入れて加熱します。スニーカーが窯に入れられるなんて思っていなかったのでびっくり!

130℃で60分、加熱・加圧することでゴムの弾力性が増し、靴底やそれぞれのパーツがしっかりと接着されます。

窯から出てきたスニーカーは、焼きたてのパンのようにほかほか。

冷ましてからひとつひとつ検品し、白と黒2種類の靴紐を付けてリゼッタに届きます。

■ 人の手でしかつくれない履き心地

「ほとんど手作業でつくられていて驚いた」と工場で制作の様子を見せてもらったスタッフ。

そこで使われている機械も故障時にすぐに修理できるよう自社内で製造していたり、靴型は女性でも作業しやすいように軽量のアルミニウムでつくられていたりするのだそう。

「あくまでも機械や道具は人の手作業を助けるものとして工夫され、できるだけ自分達ですべての工程に責任を持とうという想いが感じられました」 と言います。

「moonSTAR」というロゴに小文字と大文字が混ざっているのは、「子供から大人まで愛用してもらえるように」という意味がこめられているから。

「小学生の頃は月星シューズの上履きを、ムーンスターと社名が変わった今はリゼッタのスニーカーを。両方の時代に渡って、履けることがうれしい」そうデザイナーは話します。

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カテゴリ:リゼッタ, リゼッタのアトリエを訪ねて

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