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23.0307
センスよく花をいけるには?Make Me Me 山田裕加さんに簡単に美しくいける方法を聞きました
原色に足された、妖艶な淡い色味。Make Me Me(メイクミィミィ)の花世界はドラマチックさも手伝い、見るだけでとっても元気になります。そんな花の組み合わせをつくり出す山田裕加さんに、センスよく花をいける方法を教わりました。仕上がりにいまいち自信が持てず、これでいいのかな……?と不安だった方、必見です。
■Make Me Me による斬新な花セレクトで、この春あたらしい花の世界を味わいませんか?
開催中のフラワーマーケットでは、自分では選ばない花の領域へ足を踏み入れるきっかけづくりとして、フラワーデザイナー山田裕加さんによる生花が2回届く特別セットを企画。
「花の選び方が分からない」というビギナーから「買う花が偏ってしまう」という中級者も楽しめる内容になっています。
さらに今回、山田さんにセンスよく花をいけるポイントをビギナーと中級者、両方に向けて教えてもらいました。
■Make Me Me 流の花の選び方
まずは簡単に 山田さんのこれまでのことや花の選び方の特徴をご紹介。
日本の美大卒業後、アメリカ・ニューヨーク州へ語学留学しながら、フラワーデザイナーのもとで花を学んだという山田さん。
「今は花の仕事をはじめて15年以上経ちます。アメリカでは、いけ花と西洋のお花を組み合わせてやっている方のもとでアシスタントとして働いていました。
花の仕事を選んだきっかけは、大学で庭や外構デザインの勉強をしていたのでそこで植物を扱っていたのと、図面を書くことよりも実際に手を動かしてつくれるということにも魅力を感じていました。
母が花が好きでフラワーアレンジメントをやっていたり、家に仏壇があったり、小さい頃からお花を飾ることが身近にあったのもあります」
そんなMake Me Me 流の花の選び方は、キクやカーネーションをよくある花だからと弾かず、アクセントとして加えること。
「キクやカーネーションは可愛いと感じて使うことが多いですね。
キクって名前で避けちゃう場合があると思いますが、街のお花屋さんにも多く、たくさんの種類があります。これってキクなんだというのが実はキクだったりして、知らず知らず見かけている方もいると思います」
「これ(写真上)はヨーロッパのもので洋ギクなんですけど、海外ではキクを上手に使っていたります。
レストランなどに飾られた可愛い!と、印象に残るものもよく見るとキクだったりするんです。仏花の先入観もなく、まっすぐな気持ちで普通にお花として選んでいるんだと思います」
キクやカーネーションは、花を長く楽しめるという良さもあるんだそう。
「ご自宅用でお花を届ける場合はリクエストがあるときを除いて、長持ちするかどうかを一番に考えます。お客さまにどの花が長持ちしますか?と聞かれることは多いです」
海外全般、咲いたの状態の花を好む方が多いのに対し、日本では長く楽しむことが望まれるそう。その結果、硬すぎて咲かない花を選んでしまうこともあり、長持ちばかり考えないのも楽しいのではないかと、山田さんは言います。
■ビギナーは小振りな花瓶を味方にして
では、実際に花をいけてもらいながらコツを教えてもらいましょう。
「ビギナーの方は、まず花瓶選びが大切です。口がすぼまった一輪挿しや小さめのコロンとしたものなど、こういった(写真下)いけやすい花瓶選びからはじめてください」
「次に花を切っていきます。まず茎の処理をするときは花鋏を使って基本的にななめに切ります。茎の部分は水を吸うストローだと思ってください。
花鋏をつかうことで、茎のなかの管が潰れないので切れ味のよい花鋏を使うこともおすすめです」
「花瓶に入れる水は半分くらいです(コデマリなど枝物を入れる場合は多めがいいです)」
「では、いけていきます。私はフラワーナイフでやっていますが、茎にある葉は水につからないところにできるだけ落とした方がいいです。キクの場合は葉を結構落とします」
「そして花瓶の高さを確認しながら短めに切っていきます。花瓶選びさえ、気をつければただ挿すだけです」
「こんな感じで完成です」
「手入れについてですが、水換えはできるだけ毎日するようにしてください。
その水換えのときに大切なのは花瓶自体もちゃんと洗うこと。洗剤をつけてお皿のように洗ってよいです。
花瓶を洗わないでヌメヌメした状態だと菌が増殖して、花持ちが悪くなります。スポンジが入らない一輪挿しの場合は漂白剤を浸けるとよいです。
水替えの度に茎も切るとよいです。あたらしい吸い口にするようなイメージでグニョグニョした部分がもしあったら除いてくださいね」
■中級者は一箇所から草木が生えているかのように
「次に、もう少し大きい花瓶で花をいけてみます。このピンクの花瓶も口がすぼまっているので、いけやすい方だと思います。口がすぼまっていると花全体の軸部分をつくりやすいです」
「中くらいの花瓶に複数の花を挿す場合は、細い茎よりも太めのものやボリュームのあるものから挿していきます。理由は細い茎の花は後からでも間に入れやすく、太いのはある程度いけてしまってからだと入れるのは難しいので」
「私はカーネーションを割と低めに入れるんですけど、先に太い茎の花を挿した後は、こんな風に細い茎のお花が寄っかかれる場所がつくれるんです」
「だいたいですがここまでの花数をいけ終わると、お花が寄っかかれるところが既にたくさんできている状態になります。
ここまでやると、細い茎がかなり入れやすくなります。茎と茎同士で支え合えるように入れていくのが基本です。そうすると、ちゃんと立ってくれます」
「いけたい場所やお花の種類によって変わりますが、お花の高さはすべて同じでなく高低差をつけていく方がナチュラルにみえます。こんな感じに」
「間違いは特にないので、いろいろといけてみるのが上達する方法だと思います」
■花はいつか枯れてしまう。だからいい
最後に、花を真ん中に生活している山田さんに春は花屋にとってどんな印象か聞いてみました。
「年末から3月にかけてはいちばんお花がきれいで、色とりどり。球根が出てきたり、楽しい時期ですね。
それが終わればシャクヤクやアジサイが出てきます。夏になるとランなど暑さに耐えられる硬めのお花が登場します。どのシーズンもそれぞれのよさがあります」
「春はやわらかくてふわふわしているお花が多いし、夏は硬めのお花が持ちもよくて気候や季節の雰囲気にもあっています。花のテクスチャーから気候的な特徴をみることもできます」
山田さんにとって花の魅力とはどんなところでしょう。
「花はやっぱりいのちがあり、人工物じゃないので1本1本違います。枯れることも含めて美しいのが花で、だから花が好きです。儚いからいいんだと思います」
カテゴリ:スタッフレポート