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20.07.31
《工場見学2》Siulas/リトアニア
2003年から2009年頃にかけてリネンバードのウェブサイトに掲載していた「工場見学」を改めてお届けします。第2回目はリトアニアのシウラス社。リネンバードで取り扱うタオル ネリンガでおなじみの、リトアニアンリネンの会社です。
※この記事は当時のまま掲載しているため、現在の状況とは異なる点があります。
■自然に囲まれた環境で
シウラスは1928年に設立された、リトアニアで最も古いフラックス工場のひとつです。
資産家の邸宅だった場所を転用し、馬舎だった赤レンガの建物は工場として、住まいだった白い建物はオフィスとして使っています。リネン工場というより「リネンの館」と呼びたいくらい愛らしい外観です。
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原料のフラックスを輸入したり製品化を別の国で行ったりと、国をまたがることの多いヨーロッパのほかの国々とは違って、リトアニアでは自国内で育てられたフラックスが生地化・製品化されています。
シウラスではリトアニアで取り出されたフラックス繊維を仕入れた後、糸にする段階の工程からを行っています。
■さまざまな太さに紡がれる糸
建物を横切る廊下からは、いくつもの部屋にアプローチできます。各部屋ではガッシリした機械が待ちかまえていて、最初の部屋に入るなり大きな機械音で会話ができなくなりました。
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フラックス繊維の艶めいた束がうねりながらキチンと容器に納まっていく様子はなんとも美しくて、ずっと見ていたい気持ちになりました。
さまざまな太さに紡がれた糸は、次の部屋に運ばれて行き、この後の加工に適した形のコーンに巻かれていきます。
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梯子で中二階にあがると、巨大な釜が並んでまるで実験室のような染色ブースがありました。コーンに巻かれた糸がぶどうの房のようにセットされ、染色釜の中に入れられます。
染料を溶かした釜の中に圧力がかけられて、糸が染め上げられます。反物の状態で行うなど他にも染色の方法があります。
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■整経から織りへ
次は、整経作業の部屋へ。チェックやストライプの生地のための縦糸を組み合わせて巻き取ります。
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生地を織る工程に進みます。湿気のもやがかかった大きな部屋に織機がずらりと並んでいます。そんな部屋がいくつもあって、無地や格子、縞の生地、トーション生地など様々なものが織られています。
基本的には機械まかせなのですが、数人の工員たちが機械の調子を整えたり糸のほつれを解いたりと、通路をまわっています。
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複雑な模様を描くジャカード織りの装置は、手回しオルガンの楽譜のような蛇腹折りの紙に織りの指令が記してあり、上から降りてくる糸がそれを伝えていす。
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■最終仕上げは人の手で
急に音が静かになって、部屋の中の人手が増えます。
いよいよ最後のチェックの工程です。自動的に生地が流れていく装置や、地面から2メートルほどの椅子に座って手でたぐっていくもの、いろいろな方法で検反していました。
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必要メーターにカットしたり、生地を畳み込んで積んだりと、機械任せにはできない工程が続きます。チェックが済んで紙管に巻かれた反物は、紙とビニールにくるまれて出荷を待ちます。
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