2023.7.02
うつくしさの基となる原風景
マスクを外して移動できるようになって、対面でじっくりと話しを聞く時間が増えました。
以前まで当たり前でもそのことが尊く感じ、仕事のときもそうですし、休日トークイベントによく行くのですが、同じ空間でその人の体験話をじっくりと聞くって幸せだなと思います。
イベントが少しずつ解禁し、この春に参加したのは二つのイベント。建築家・伊東豊雄さんと大西麻貴さんの、大西さんが伊東さんに幼い頃の話や建築の可能性を問いかけた本のトーク。もうひとつは、人生のとても長い時間アルヴァ・アアルトを探求し続け、日本で一番アルヴァ・アアルトを知っているといわれるドイツの建築家・水島信さんの講演会。
小規模ならではの集まって考えるというような問いかけの内容で、講演者の声や表情、そこに来ていた人の質問や人柄、いろんなものをダイレクトに受け取って、最後にほんとうにいい一日だったなと思う時間でした。
蔦屋代官山や銀座エルメス、せんだいメディアテーク、台中国家歌劇院などを設計している伊東豊雄さんはもともと好きな建築家なのですが、師弟のような濃い関係の大西麻貴さんが引き出す、伊東さんのトークは本質に触れるものばかり。
様々な作風に見えがちでもある伊東豊雄さんの建築に通底するのは、幼い頃に諏訪湖の畔で育ち、波が立たない静かな湖面、山々に抱かれた家など、内なる自然から得たうつくしさの感覚。直接的なものを建築に取り入れているのではなく、その静けさやうつくしさを内包した時間をつくりたいのだということでした。
いくつか見に行ったことがあったので、すごく納得しながら同時に自分の原風景やうつくしく感じるものを考える時間でした。
もうひとつの、実在のアルヴァ・アアルトに会ったことがあるという水島信さんのトーク。質問時間があったのに手を上げられなかったのはすこし心残り。人が集まる場所で、ちゃんと前に出ていけるようにもなりたいものです。