スタッフこぼれ話

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何かが始まる気配

秋晴れの気持ちのいい日。かねてから訪問したかった村上春樹ライブラリーに行ってきました。やりたいこと行きたいところ、観たいものをやっぱり解消していかなくちゃと思い始めて、いちばんに思い付いたのが早稲田にあるこの場所。

ある建築家が語っていた「いい建築は主張せず、歩いていて場所の気配を感じさせる」という言葉がわたしは好きなのですが、その建物はこの言葉のようにひっそりと佇み、導入から何かが始まる気配。

急ぎ足で向かったため、安堵とともにシンボルともいえるパラレルゲートをくぐり抜け、館内に入ると写真でみたときよりもコンパクトなつくり。壁に展示された村上春樹の案内文のフォントが彼の語りとぴったりなのが嬉しくもありました(それはそうなりますよね)。

なんといっても楽しいのはオ―ディオルーム。村上春樹が寄贈したレコードの音色に浸りながら、音と対峙する空間。ジャズの滋味深さを感じながら、解像度の高い、音の広がりは、自宅のスピーカーの買い替えを検討するほどのリラックス感と心地よさがありました。

その空間にぶらさがる和紙でつくられた貝の照明が個人的にハイライト。A4の紙をメガホンのように丸めたシンプルなつくりが、流れるジャズや光とモダンに調和。

「わかるようでわからない」村上作品を設計者の隈研吾が形にしたわけですが、スイングしなけりゃ意味がない、そんな心躍る場所でした。