スタッフこぼれ話

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酷暑に思い出すのは、石の建築

暑い日が続くと無性に観たくなるのは、直線が際立った白い建築や石の建築。脳内トリップで、ふたつの石の建築を振り返りたいと思います。

建築に上手く組み込まれた石をみると心躍る私。ここぞとばかりに一部分で使われる石もそうですし、意識せずとも大地の歴史までも感じさせてくれるものに出合うとエネルギーをもらいます。

ひとつ目は、ヘルシンキのテンペリアウキオ教会。以前に北欧を旅したときに訪れたこの教会は、石なのにどこかあたたかみがあり、静謐さとともにそれとなく祝いの雰囲気が漂っていました。

大きな空間に見えますが半地下につくられているため、外観は密やかで地上からは一階建てのような高さ。花崗岩を繰り抜き、その石を用いて壁もつくられているそうです。その延長にガラス、上部に鋼板でつくられた円型ドームが載っています。

壁の岩肌に沿うようにスマートなアイアンの台が設置され、静かに火が灯されていました。独特の空気に触れて生きていることを感じさせられるような場所。

もうひとつは、フランク・ロイド・ライトの弟子である、アメリカの建築家ケンドリック・ケロッグによる軽井沢の「石の教会」。まるで騎士の甲冑や、ジブリの世界に出てくる伸び縮みする生物のような、この石の空間のことを思い出します。

聖堂内は撮影が禁止なので伝えられないのですが、石の連続の繋ぎにガラスが収められ、その間から漏れ落ちる光が恵みのよう。「神が創造した自然こそが教会である」という思想がかたちづくる、この建築。今の時季に訪ねたら、ぐっと涼しいのでしょうか。

熱帯のように蒸し暑さを感じる今年。地震と台風の多い日本では石造りの家に住むわけにはいきませんが、一周して肌に触れる素材はリネンだと力説したい暑さです。