スタッフこぼれ話

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イタリアでみつけた小さなハット

我が家の片隅に、何気なく飾られた一品があります。それは、十数年前にイタリアの古着店で偶然見つけた、ボルサリーノのヴィンテージハット。店主が「およそ100年前のものだよ」と教えてくれました。

このトップが丸く、つばの短い独特のフォルムは、ボーラーハット、あるいはダービーハットと呼ばれる形だそう。

裏には「6と8分の5」というサイズ表記が。これはセンチメートルに換算すると約54cm。現代の紳士物としては、少し小ぶりに感じられます。

当時の帽子のデザインや流行は、現代とは異なるサイズ感が主流だったのでしょうか。

内側には、かつて汗を吸い込んだであろうバンドの染みが残っています。冬物に見えつつも、暑い夏にもかぶられていたのかもしれません。

調べてみると、100年前のイタリアでは、男性が外出時に帽子をかぶることは、身だしなみの一部であり、社会的なエチケットとして定着していたと知りました。

帽子は単なる防寒具や日よけではなく、服装を完成させるための重要なアクセサリーだったのですね。

この小さなボルサリーノを眺めていると、当時の人々の暮らしやファッション、そして彼らが大切にしていた美意識が想像され、帽子への愛着が募ります。

残念ながら、私にはサイズが合わなくて、かぶることはできませんが、この夏は、この歴史を宿した帽子に影響されて、私も帽子を取り入れたコーディネートに挑戦してみようと思います。