2025.9.07
愛される建築家「内藤廣」で賑わう東京
コンサートホールを彷彿とさせるようなクラシックな雰囲気で、レンガ仕上げとドームが特徴のみなとみらい線「馬車道駅」。どの駅舎が好きですか?と聞かれたら真っ先に浮かんでしまうほど好きな駅の建築の一つです。
馬車道駅の建築を手がけたのは、建築家の内藤廣。2004年に開業した比較的新しい駅で、ドーム天井がうつくしく、そのドームの素材は悩みだった騒音を抑えるために採用された吸音性に優れているものらしく、そのあたりもシンプルな建築をつくる内藤廣らしさを感じるところ。
そんな設計の実務の高さから愛される内藤廣のイベントが東京で目白押し、まずは「内藤廣 赤鬼と青鬼の場外乱闘 in 渋谷」に行ってきました。

しかし、まあなんという内藤好きの嵐……。馬車道駅以外にも、高知の牧野富太郎記念館や安曇野ちひろ美術館、富山県立美術館、とらや赤坂店等を手掛けているので馴染みのある方も多いのではないでしょうか。
音楽フェスのような熱狂で、基本的に身動きがとれませんでした。言い換えれば、こんなにもファンを集めることのできる建築家!ということでここに書きたくなっちゃったのでした。

会場は渋谷駅直結のストリームホール。賛否両論が飛び交う渋谷の再開発は、通勤での利用者はとくに思うところのある建物だと思います……。東急東横線の渋谷駅は安藤忠雄が風の抜けを中心に考えられたものですが、追って完成した黄色い銀座線ホームの設計は内藤廣。ワープするような空間でとっても好き。

展覧会の内容は、これまでの挑戦の軌跡を追ったもので、アンビルド建築も含めて思考を辿るもの。今回の展覧会で渋谷の再開発プロジェクトの中心人物として内藤さんが関わっていることを知りました。

個人的にヒットだったのが、商業施設ヒカリエと渋谷駅をつなぐ跨道橋(東口2階デッキ)も手掛けているところ。関東にお住まいの方は通ったことある方もいるのではないでしょうか。
天国への道のような、すーっと吸い寄せられていくようなあの道。行き来する人にクリーンな気持ちをもたらすうつくしいブリッジは内藤廣によるものでした。
その跨道橋をつくる際、リーダー的な立ち位置の内藤さんは、自分が手掛けるところ以外の(渋谷駅構内も)いいものになるよう、全体のレベルをリードできることをめざしたのだとか。その意気込みや情熱がキリっと涼やかに表れています。
9月は倫理研究所 紀尾井清堂で行われている「建築家・内藤廣 なんでも手帳と思考のスケッチ」に行く予定。こちらも楽しみなイベントです。

ちなみに今回の展示に出向く前、移転前の奥沢ファクトリーで友人とモーニングを食べました。気の置けない友人との朝時間、大好きなブルーの店内と赤いランプ。心に刻む思い出です。

