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20.07.31
《工場見学6》Vaupel & Heilenbeck/ドイツ
2003年から2009年頃にかけてリネンバードのウェブサイトに掲載していた「工場見学」を改めてお届けします。今回お邪魔したのはドイツのVaupel & Heilenbeck社。リネンバードで扱っている刺繍用テープをつくっている会社です。歴史はそれほど古くありませんが、刺繍分野に特化することで事業を始め、地道で順調な活動を続けています。
※この記事は当時のまま掲載しているため、現在の状況とは異なる点があります。
■100年前の機械が今も現役
今回訪れた人口約40万人の都市、Wuppertal(ヴパタル)は古くから繊維工業の中心として栄えてきました。
こうした製造業は人件費の関係から、どんどん西ヨーロッパから姿を消しつつあります。ヴパタルも例外ではなく、繊維でもなにかニッチな分野に特化した小規模な工場が残るだけです。
Vaupel&Heilenbeck(以下V&H)は創業してまだ20年余りの会社です。
ここで織られる刺繍用の生地は幅が2.5cmから45cmまでで、素材のほとんどがリネンです。すごいのは100年前の機械も現役で働いていること、こうした特殊織機は世界中で限定的な需要しかないため、織機の更新が進んでいません。
100年前は手動で動いていた機械が、今はモーターがついていたり、部分的に部品が変わっていたりしますが、基本的な構造、部品はまったく変わらず、オークでできた木製部品が数多く使われています。生地は織りあがってから、処理や、染色されることはありません。
色物の生地はすべて先染めの糸が使われます。横糸のかせはとても小さいので、すぐに終わってしまいます。このかせは20分ほどで終わり、また手で取り替えます。
このようにして、わずか5cmほどの幅の生地を1m織るのに、1時間かかるそうです。逆にそのスピードだからこそ、リネン100% のものを織ることができるといえます。
リネンリボンやバンドの製造は、通常の布地の生産と概ね同じですが、古い織機で動きが遅く、また幅狭のために頻繁に縦糸の位置が入れ替わるので、見ていてもあきません。
織られていく様子がとてもわかりやすく、昔の人もこうしてつくっていたんだと納得させられます。
「こんなものもできるんだ」といって、かわいいリボンを織ってみせてくれました。
現在主流の高速リボン織機は速度を上げるために糸を2本どりしたり、強度の高い合成繊維をミミに引っ掛けたり、さまざまな工夫がされています。
V&HでもAIDAと呼ばれる生地にはこの高速マシンが使われていますが、その他は伝統的でもともとのリネン素材にあった方法で、今日もリネンバンドができあがっていきます。
工場で働く人たちは、織物のことはもちろん、機械に強くないといけません。
機械のメインテナンスは、創業時からいる工場長の役目です。説明中も、筬(おさ)をぶらさげるところの結び目が切れかかっているのを見つけて、すかさず修理。このダマスク織ができる織機も、70歳以上だそうです。
縦糸を整経する機械も古く、もとは手動であったところに、モーターが追加されました。
古い機械はすべて地元で作られたものです。BARMENは合併前の古い町の名前らしい、ドイツでも市町村合併があったのです。
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