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17.12.08
《つくり手ファイル》インドの手仕事布の魅力を伝える「CALICO」の世界
エンベロープに新ブランドCALICO:the ART of INDIAN VILLAGE FABRICS / キヤリコ:インド手仕事布の世界(以降、CALICO)が仲間入りしました。CALICOはインドの農村で昔からつづく手仕事布の魅力を継承するため、それらを使ったアイテムを手掛けるブランドです。主宰者である小林史恵さんにお話を聞きました。
■昔ながらの布の仕事がつづくために
小林さんとインドの布との出会いは、今から7年前の会社員時代。ニューデリーに赴任した時のことでした。
「農村ビジネスの研究などを行う傍ら、村々で干されている素朴なサリーや、町で見かける労働者が巻いているガムチャ(手ぬぐい)に惹かれ、昔から伝わる布の仕事を広げることが、彼らの生活にとっても必要なのではないかと思ったんです」
両祖父母がテキスタイルの仕事をしていた影響もあったのか、子供の頃から布が好きだった小林さん。布に関わることで自分の時間もエネルギーももっと活かされるのではないかと思い、2012年にCALICOを設立します。
「最初の3年間は、CALICO worksというデザインユニットとして、デリーの日系企業でアパレルの企画・生産管理に携わっていた増住有希さんにも協力してもらい、いろんな団体や工場と研究的、実験的な取り組みを試みました。現在のようなデザイン・生産パートナーとの信頼関係が築かれるまでには、様々な挑戦や失敗がありました」
■手織り、染めそして刺繍の布
CALICOで扱う布は主に3種類。手織りの布、染の布そして刺繍の布です。
「手織りの布には、カディ(手紡・手織布)やジャムダニ(縫取織布)、デニム(綾織)、シルクジャガードなどいくつか種類があるのですが主にベンガル地方の村々でつくっています。
染の布は主にグジャラート州で伝統的な染めを伝えるファミリーとの協業で、刺繍の布はベンガル州、ビハール州、グジャラート州など各地のNGOと協業してつくっています」
生地がつくられる産地や織り手は様々。
農協のような生産組合のこともあれば、農村の女性が携わるNGOの場合もあり、相手によって品質と納期の許容も変えているそうです。
「生産団体には、彼らの継続的な発展のためにも心を鬼にして可能な限りプロフェッショナルな対応を要求しています。
主に女性の空いた時間を活かして活動するNGOの場合は、お祭りや農作業など、家族の状況など、彼女たちの意思ではどうにもならないことも多いため、決して厳しくしすぎず、できたものからいただいています」
「デザインをする時に心がけているのは、伝統を守ることと新しいデザインによる更新のバランスです。
単純に日本で売れそうな配色というのが、その土地の伝統にないものであれば、可能な限り伝統を尊重しそれを作ることを誇りに思ってもらえるような配慮をします。そこがいわゆるファッション産業と少し違うところかもしれません」
■想いを共にするブランド「MAKU」
CALICOとあわせてもう一つご紹介するのが、手仕事布ブランド「MAKU」です。
MAKUは、インド国立デザイン大学でテキスタイルを学んだSantanu Das氏によるコルタカ発のブランド。現地の村に創立された染色スタジオで藍染めしたカディやジャムダニの生地を使って、手縫いも取り入れながら洋服に仕立てています。
「発散的なデザインや色遣いが多いインドのものづくりにおいて、MAKUの藍染と地色素材に集中した引き算的なデザインは新鮮。多くの日本人の美的感覚に通じるところがあるのではないでしょうか」
MAKUの魅力について、小林さんはそう話します。
インドの手仕事布を守っていきたい、そんな想いが根底にあることも共通し、二つのブランドは時にコラボレーションしながら活動しています。
■手仕事布を身につける歓び
CALICOやMAKUの洋服に袖を通すと、この技術を守らなきゃと思うのがわかります。だって、人の手でしかつくれない美しさがそこにはあるから。
女性が糸を紡いで男性が織るカディ、模様を織り込んでいくジャムダニ織り、4~5ヵ月かけて刺繍するカンタ…
そんな生地をふんだんに使った服を身に着けた時、贅沢な時間を纏っている気持ちになれるのです。
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