エルマーズグリーン 今月のコーヒー 6月

エルマーズグリーンは5年前に大阪北浜にオープンしたカフェにはじまり、
堺の自家焙煎所「コーヒーアンドベイクス」、淀屋橋のコホロに併設したカフェ「コーヒーカウンター」と、
大阪を拠点にしたコーヒーのお店です。
http://www.elmersgreen.com/

エルマーズグリーン青野

エルマーズグリーンのロースター。一日何杯でも飲めるような、
果実味のある軽やかであっさりとしたコーヒーを焙煎。

  • 豆選び

    どこの農園・標高・品種・生産処理などが明確で、高品質な豆「スペシャルティコーヒー」を使用。

  • 焙煎

    必要以上に熱を加えず、その豆のもつ個性・風味を生かすフレッシュな焙煎。苦みはあまり出さず、その豆がもつフルーティな酸味を生かす。

  • 抽出

    誰でも簡単に抽出できるフレンチプレス式を推奨。

エルマーズグリーン原田

エルマーズグリーンのロースター。 昔ながらのしっかりと力強く深い味のコーヒーを焙煎。

  • 豆選び

    スペシャルティだけにこだわらず、深く焙煎した時に
    うまみや甘みが出る生豆を選ぶ。

  • 焙煎

    カラメルのような甘みと苦みを持つ味をベースにしながら、豆の産地の個性が楽しめる焙煎。素材にじっくり熱を加えて調理・風味付けをしていく。

  • 抽出

    ハンドドリップで深い焙煎の旨みを絞るように抽出。

今月のあっさりコーヒー「ブラジルシティオダトーレ」 今月のしっかりコーヒー「コロンビアビジャファティマ」

豆はどうやって選んでいるの?

  • エンベロープ

    前回「焙煎や抽出も大事だけど、豆がもつポテンシャル以上の風味を出すことはできない」という話があったので、今月のテーマは「豆選び」にしました。 豆ってどうやって選んでいるんですか。

  • 青野

    コーヒー豆にはグレードがあります。一番下がローグレード、その上が一般に流通しているコモディティ、 品種と生産した農園や地区の特定ができるプレミアムとつづき、一番上がスペシャルティコーヒーです。

    コーヒーピラミッドの図

    1回目でも話しましたがスペシャルティコーヒーとは大まかにいうと、どこの農園でどんなふうに作られたのかがはっきりしていて、 良い風味を重視した審査で基準点数をクリアしたコーヒーです。 農園主にはその豆に見合った賃金が支払われ、その報酬に対して農園は持続性をもってより良い豆が生産できる環境をつくる、そんな取引をされています。 エルマーズグリーンが選んでいるのは、このスペシャルティコーヒーです。

  • エンベロープ

    スペシャルティって貴重な豆なんですね。

  • 青野

    そのスペシャルティコーヒーを「カッピング」と呼ばれるテイスティング方法で、自分の舌で判断して決めています。

  • エンベロープ

    その判断って主観的なものなんですか。

  • 青野

    そうではなく客観的なものなんです。フレーバーや甘さ、マウスフィールといって口にふくんだ時の質感などを見ていくのですが、 それらをしっかり鑑定できる人がいい豆を選ぶことができる人なんです。 なので練習が必要なんですよ。プロが集まったカッピングではディスカッションもします。 感じたことをすり合わせていくのですが、主観的なものではないので自分だけが違う場合は訂正します。 そうやって鍛えていくんですよ。

  • エンベロープ

    何だかソムリエみたい。

  • 青野

    カッピングではテロワール(生育環境)なんて言葉も使われたりして、ワインの世界に近づきつつあります。そのうち詩的な表現もするようになるかもしれませんね。

    お店に到着した生豆。温度・湿度に強く、酸素や水分の侵入を防いでくれる「グレインプロ」というビニールに入れられています。

  • エンベロープ

    それだけコーヒーにも風味のバリエーションがあるということですね。原田さんはどうやって選んでいるんですか。

  • 原田

    現在エルマーズグリーンの豆は全てスペシャルティですが、僕はスペシャルティにこだわっていません。 スペシャルティは酸を持つ豆が多いため、僕が行う深めの焙煎には不向きの場合もあるんです。 なのでそれだけにとらわれず実際に液体にした時に甘みやいい苦みが出る豆を選んでいます。

  • エンベロープ

    あっさりしたコーヒー豆を選ぶ時とは、また違った難しさがありそうですね。

  • 原田

    深く焙煎することで浅い焙煎時にはなかった新しいおいしさが出てくる豆もあります。 そうした豆を見つけるためにカッピングした人のコメントを手がかりにすることも。 例えばフレーバーについてシトラスやアシディティ(酸味)が前面に出ているのは避けて、チョコレートやバターと表現されているものを選ぶといった具合です。

  • エンベロープ

    チョコレートやバターですか。そうしたリッチな感じのフレーバーが原田さんのコーヒーと相性がいいんですね。

  • 原田

    生豆の色や香りでも判断しますね。そうそう、いい豆は焙煎をして豆がはぜる時の香りで分かるんですよ。そんな時は早く飲みたくてワクワクしますね。

    真空パックされた生豆。いい豆は手触りがよく、強く香ります。

今月のあっさりコーヒーは“きれいなブラジル”

  • エンベロープ

    では今月の豆にいきましょう。青野さん、あっさりコーヒーは何ですか。

  • 青野

    ブラジルシティオダトーレ、名前の通りブラジルのシティオダトーレという農園でつくられた豆です。 この農園からはカップオブエクセレンス(COE:1つの生産国でその年に収穫された最高の豆を決める品評会。国際審査員による厳しい審査で 高得点を取ったスペシャルティコーヒー豆に与えられる称号)が何回も出ているんですよ。

  • エンベロープ

    それは期待できそう。どんなコーヒーなんでしょう。

  • 青野

    風味はアプリコットやいちじく、キャラメルのような甘さが感じられます。 コーヒーチェリーの果肉を取って実のまわりの粘液を残しつつ乾燥させる「パルプトナチュラル」という方法で生産処理しているので、 糖分が浸透し甘味がありつつ精製度の高いクリアな味わいです。

  • エンベロープ

    ブラジルというと昔からある強いコーヒーを思い浮かべますが、あっさりコーヒーもあるんですね。

  • 青野

    そうですね。ブラジルでは摘み取ったコーヒーチェリーをそのまま乾燥させるナチュラル方式がメインなのですが、 スペシャルティコーヒー志向で精製度の高いパルプトナチュラルが普及しているようです。 これまでとは違った“きれいなブラジル”という印象です。ぜひ味わってみてください。

    ブラジルシティオダトーレの豆を焙煎。袋を開けると甘い香り、明るい茶色でマットな仕上がりです。

今月のしっかりコーヒーは、あのお菓子に似たフレーバー

  • エンベロープ

    原田さんはどちらの国のコーヒーですか。

  • 原田

    今月はコロンビアです。世界遺産サンアグスティン考古公園があるウィラ地方で育てられたコーヒー「コロンビアビジャファティマ」です。 農園はウィラ地方の南西にある標高の高い場所にあって、この土地ならではのフレーバーを持ったコーヒーがつくられています。 このコーヒーはウォッシュトと呼ばれる水洗式で生産処理されています。浅めの焙煎でもおいしいのですが、深い焙煎でもいける豆です。

  • エンベロープ

    深く焙煎することでどんな風味に仕上がっていますか。

  • 原田

    チョコレートがコーティングされたオレンジのお菓子がありますよね、オレンジピールチョコレート。 あのお菓子を想像させる、オレンジとチョコレートのフレーバーです。深さとともに甘さがあって、それでいて軽やかなコーヒーです。

  • エンベロープ

    オレンジとチョコ、最高の組み合わせですね。

    深く焙煎されたコロンビアビジャファティマの豆。オイルが染み出していてつやつや光っています。

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