小さな生産処理場 マイクロミル
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エンベロープ
そろそろ温かいコーヒーとお菓子が美味しい季節ということで、 二人にホット用の豆を選んでもらいました。
まずは青野さん、あっさりコーヒーをお願いします。 -
青野
今月はコスタリカのプエンテ・タラスという豆を選びました。 コスタリカの豆には2つの特徴があるんですが、その1つがマイクロミルです。 マイクロミルっていうのは家族や生産者同士などで経営している 小さな生産処理場のことです。
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エンベロープ
生産処理というのは確か、収穫したコーヒーの果実から 生豆を取り出す作業でしたよね。
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青野
そう、味にも影響する大事な工程です。 マイクロミルでは少量を少人数で処理するので目が行き届き、 品質の高い豆が生産できます。品質が高ければ豆も高く売れますし、 そうした豆のニーズも高まったこともあって、 2007年にコスタリカのカップオブエクセレンス(1つの 生産国でその年に収穫された最高の豆を決める品評会)が スタートした頃からマイクロミルの数が増えてきました。 この豆の名前のブエンテ・タラスというのも 生産処理場の名前なんですよ。
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エンベロープ
コスタリカではどこの農園で育てられたのかというのはもちろん、 どこで生産処理されたのかまで注目するんですね。
はちみつトーストと朝食に
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青野
もう一つのコスタリカの豆の特徴が、ハニー精製です。 生産処理の仕方には大きく分けて3つの方法がありましたよね。
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エンベロープ
天日干しする方法と、水洗いする方法と 果肉を取って実のまわりの粘液を残しつつ乾燥させる方法ですよね。
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青野
そうです。コスタリカでは粘液質を残しつつ乾燥させる方法が多く採用されていて、 それをハニー精製と呼んでいるんです。
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エンベロープ
ハニーというからには甘いんでしょうか。
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青野
粘液質の甘味が豆に移って、はちみつのような甘味と香りのある豆になります。 このコーヒーはクリーンで透き通る甘さがあるので、朝飲むのにとてもおすすめです。 はちみつトーストと一緒の朝食なんてどうでしょうか。
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エンベロープ
その組み合わせ、喫茶店のモーニングみたい。 起きるのが楽しみになりますね。
独特な緑色の生豆
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エンベロープ
では原田さん、今月のしっかりコーヒーをお願いします。
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原田
9月はマンデリン タノバタックというインドネシアの豆です。 インドネシアは世界第3位のコーヒー産出国で、そのほとんどが インスタントコーヒーに使われるロブスタ種が占めています。 マンデリンはアラビカ種をもとにしていて生産量は少ないのですが、 独特の風味で人気があるんですよ。
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エンベロープ
マンデリンって名前は聞いたことがあります。個性的な豆なんですね。
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原田
マンデリンの生豆は緑色が強いんです。これは収穫したチェリーの皮をむいて水洗いした後、生豆の状態で乾燥させる「スマトラ式」という方法で精製しているため独特な緑色になるんです。
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エンベロープ
精製にはそういう方法もあるんですね。 この豆は、どんなところで栽培されたんですか。
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原田
スマトラ島のトバ湖南部のリントンニフタ村というところです。 1400から1600mの高地で、ミネラルが豊富な火山灰土壌であることなど コーヒー栽培に理想的な環境です。生産に携わっているのはバタック族という 民族なのですが、彼らが日光が当たりすぎないように木を植えて日陰をつくったり、 土壌の温度が上がりすぎないように葉を敷いたり、適度な水分を与えこまめに 除草するなど手間をかけて育てていることも品質の高さにつながっています。
栗のお菓子とあわせて秋のおやつ
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エンベロープ
味はどんな感じですか。
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原田
苦味と甘味、相反するものがカップの中で溶け合っている感じです。 マンデリン特有のバターのような甘味とトロピカルフルーツの風味、 そしてアーシーと表現するのですが土っぽい力強さがあります。 重厚なので栗やさつまいもを使ったお菓子と相性がいいと思いますよ。
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エンベロープ
ほっくりとしたものに合うんですね。秋のお茶の時間にぴったりですね。