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18.03.23

《つくり手ファイル》木工家田澤祐介さん×和菓子職人長沼輪多さん:前半

4月6日(金)よりshedにて、木工家田澤祐介さんの展示会がはじまります。余計なものをそぎ落とし、凛とした空気をまとう田澤さんの器や道具。その美しさは、長年木と関わり向き合ってきた経験から生まれたもの。神奈川県海老名市の工房で、田澤さんにお話を聞きました。※こちらの展示会は終了しました。

■漆でつくり出す多彩な表情

無駄なものがない、ミニマムなデザインが美しい田澤さんの作品。その仕上げには、オイルだけでなく漆が使われています。

中でも漆を塗った上に地の粉と呼ばれる砥石の粉を蒔く「蒔地漆」は、独特な表情とマットな質感で他にはない存在感があります。

▲右がオイルフィニッシュ、左が蒔地漆の作品

「木の器はだいぶ普及してきたけれど、食べ物が木と直接触れることに抵抗がある方がまだいらっしゃると思うんです。となると漆が塗ってある方がいいのでは、そんな思いもありました」

漆を取り入れたきっかけについて、田澤さんはそう話します。

蒔地漆のほかにも木肌を活かした拭き漆の作品や、アンモニアガスを用いた昔ながらの方法で着色した作品も。様々な表現により、木に豊かな表情が与えられます。

■木に触れ、向き合いながら

陶器のようでもあり、金属のようでもありながら、触れた時の温もりに「木だったんだ」と気づかされる田澤さんの器。そこには、ほかにはない独自の魅力があります。

「何の素材でつくっているのだろう?と思われるのが好きなんです。友人にもう木じゃなくていいんじゃないかって言われたこともあるんですけど(笑)、でもやっぱり私の本分は木なんです」

▲その厚さなんと2㎜。薄く割ったナラ材に漆を塗りその上から錫の粉をかけた、まるで金属のような道具箱

▲漆を塗り、錫を蒔いた蓋物。角度によって青や緑色に見えます

“本分は木”と話す言葉通り、田澤さんのこれまではずっと木とともにありました。

「大学で林学を学び、環境調査のコンサルタント会社で7、8年ほど働きました。道路やダムなどをつくる時に、自然にどんな影響があるのか調査する仕事で、現地にはどんな動植物がいて森林がどうなっていくか、そういったことを調べていました」

学生の頃から興味があった、木でものをつくる道に進むのは31歳のとき。学校で木工を学び家具制作やリペアの仕事を経て現在にいたるまで、常に木と関わりつづけてきました。

「木が育つペースより、使うペースの方がどうしても早いわけだから、木工の材料は今よりもっと手に入りにくくなっていきます。そういうことはきちんと考えないといけないし、限りある資源だから、下手なものはつくれないなと思っています」

■田澤さんの器に、春らしいお菓子を添えて

今回の展示会では、田澤さんの器に合わせてお菓子もご用意します。つくり手は和菓子職人・長沼輪多さん。

▲長沼さん(左)と田澤さん(右)。展示会では漆器にあわせて春らしいお菓子を用意してくれるそうです

実は展示会で一緒になることを知らずに、田澤さんのサクラ材の重箱をオーダーしていた長沼さん。細部にまで美しさと機能性が追求されていて、使い手を惹きつける魅力があったと言います。

次回は、当日ご用意するお菓子についてご紹介します。

▲この日の朝つくられたお菓子を、サクラ材の隅切一文字盆と合わせて

▲蒔地漆の敷板には、大納言の鹿の子を

>>《つくり手ファイル》木工家田澤祐介さん×和菓子職人長沼輪多さん:後半

■田澤祐介/木工展
2018年4月6日(金)から 4月15日(日)
11:00-19:00(最終日17:00)
〈田澤祐介さん在廊日〉
4
7日(土)、8日(日)、14日(土)、15日(日)
※お支払いは現金のみの対応です。
〈お菓子〉
お茶と和菓子(落雁つき)セット 1000円
お持ち帰り和菓子 500円 ~、焼菓子250円~
shed(東急田園都市線、大井町線二子玉川駅から徒歩3分)

※こちらの展示会は終了しました。

カテゴリ:エンベロープ, shed, つくり手ファイル

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