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18.05.11

《SHOP STAFF LESSON》緑茶の季節、美味しい楽しみ方

暮らしについておしゃれについて、ショップスタッフがレクチャーする連載「SHOP STAFF LESSON」。二子玉川KOHOROでお茶にまつわる企画展を開催中のスタッフあだちに、緑茶を美味しく淹れるコツを教わりました。

■KOHOROの作家の器を使いながら…

今回のSHOP STAFF LESSONは、お茶のお話。お茶屋さんで働いていたKOHOROのスタッフあだちに、美味しく楽しむためのコツを教わりました。

▲あだちが店頭に立つKOHOROには、日本の作家の器が並び、お茶にまつわる器もとりどりに揃っています

あだちは、KOHOROで出合った會田竜也さんの茶筒や、府川和泉さんの宝瓶を使って、毎日お茶を飲んでいるそう…。せっかくなので、道具を家から持ってきてもらい、お店に揃う器も使いながらお茶について教わりました。

■まずは、お茶の種類から

緑茶として売られているものは、煎茶と呼ばれる蒸し製の緑茶であることが多いですが、緑茶の種類はもっと沢山。摘んだ茶葉の日照時間、揉んで撚(よ)るかどうか、蒸すか炒るか、茶の葉か茎か芽か…など、さまざまな要因で種類や名前が変わります。

▲指しているのは釜炒り茶。針状に整形しないので茶葉が曲がっています

茶葉は摘んですぐ酸化酵素の働きで、葉の成分が変化しはじめます。そのことをお茶の発酵といいます。摘んですぐに熱を加えて発酵を止めることで、成分変化を起こさせず、鮮やかな黄金色やフレッシュな葉の香りが残り、緑茶となります。

▲上が発酵茶(紅茶)と半発酵茶(烏龍茶)、下が不発酵茶(緑茶)。下段一番左から蒸し製玉緑茶、釜炒り緑茶、深蒸し煎茶、普通蒸し煎茶、玉露

ちなみに、十分に発酵させたものが紅茶、紅茶より早い段階で発酵を止めるのが烏龍茶などの半発酵茶。発酵の程度で、緑茶寄りのものから紅茶よりのものまでグラデーションのように沢山のお茶が生まれます。

■美味しく淹れる4つポイントと、水のこと

お茶を美味しく楽しむには、4つのポイントがあります。

【1】葉の量【2】湯の量【3】湯の温度【4】浸出時間

このポイントを抑え、それぞれの茶葉に合った淹れ方を知っておけば、自分好みの味を探す時間も楽しくなります。

使う水も大切。水の硬度がお茶の味や香りに影響することがあり、日本茶には軟水がおすすめです。水を火にかけ、沸いたらヤカンの蓋をずらして5分ほどそのまま沸騰させることで、適度に空気が抜けてカルキ臭なども抜けていきます。低い温度でお茶を淹れるときも、必ず一度沸騰させたお湯を使いましょう。

【1】葉の量
茶葉は、1人につき2~3gが目安。だいたいティースプーン1杯2g、茶さじ3g、大さじ5gです。 2人分なら5~6gなので、茶さじ2杯ほど。とはいっても、人数×2~3gは絶対ではありません。

▲茶さじ1杯で大体3gほど

「例えば、1人分だけ淹れたいと思ったら、茶葉は多めの5gにした方が味は安定しやすく、5人分たっぷり淹れたいなというときは10gでも十分おいしく入ります。

大人数のときは1人2gと少なめに計算してください。葉の種類によって重さや嵩が違うので使う茶匙でそのお茶がどのくらいの量になるかを知っておくと、目安になると思います。」

【2】湯の量
2煎目、3煎目まで最大限に楽しむためには〈急須の中のお湯を注ぎきる〉ことが大事。適した湯量、十分な器を用意しましょう。

一度沸騰させたお湯を、人数分すべての茶碗の8分目ほどまで注ぎます。1煎目は葉がお湯を吸うので少し多めに。そのお湯を急須に移し入れたら、お茶が急須の中に残らず注ぎきることができます。

▲湯冷ましになるうえ、器を温めることもできます

【3】湯の温度
湯の温度が高いと〈渋み・苦味・香り〉が出やすく、低いと〈甘み・うまみ〉が出てくるのですが、茶葉の種類や味の好みによって、熱湯で淹れると美味しいもの、低い温度でがらっと違う味を楽しめるものがあります。

例えば、番茶は沸騰したお湯を直接注ぎたっぷり淹れると香ばしい香りが立って美味しいですし、玉露や上級煎茶などのお茶は、低い温度で淹れると甘みや旨みを楽しむことができます。

お湯は別の器に移すことで1回につき5~10度温度が下がっていきます。片口や湯呑みで湯冷ましを行うことで、出したい味わいにあった湯の温度に近づけましょう。

【4】浸出時間
お茶は、お湯に茶葉が浸って、葉が開いていくことにより味が出てきます。

▲茶葉がふわっと開いています

葉の種類や好みにもよりますが、熱湯で30秒、80度1分、70度1分半…など目安を作って、一度試してみて飲んでみてください。急須の中を見て葉の開き具合で好みの時間を覚えておくのも1つの目安です。

【3】湯の温度【4】浸出時間は、美味しいと思った温度と時間を覚えておくと、自分好みのお茶を、すぐに淹れられるようになります。

■急須いっぱいのお茶を入れたい場合

急須の底が隠れるくらい茶葉を入れると、一番手軽に、急須にあった量の目安になります。

湯冷まし用の器を用意してお湯を淹れ、温度調節してから急須に適量の湯を注ぎます。お茶が注ぎきれるよう、急須の大きさに合う十分な器を用意してくださいね。

■2人分、淹れてみます

「今回淹れるのは宮﨑茶房の〈たかちほ〉という釜炒り茶。渋みが苦手なひとにも飲みやすいお茶です。」

釜炒り茶は、香りが高くてスッキリとした味わいが特徴。香りが立つ、高めの90度もおいしく、少し温度を下げて80度くらいのお湯で淹れると、やわらかな味に仕上がります。2人分、ぴったり淹れる方法でやってみます。

(1)2人分の茶碗を用意します。

▲水垣千悦さんの茶碗で

(2)茶葉は茶さじに大盛り。だいたい5~6gです。

▲會田竜也さんの茶筒

▲少ない量なら、急須のほかに宝瓶も使っています。 今回は葉の見えやすい宝瓶で淹れてみました

(3)お湯を茶碗に注ぎ、茶碗から宝瓶に移します。

▲茶碗で湯冷ましして、だいたい80度くらいになったら宝瓶に移します

(4)蓋をして揺すらずに1分半ほど待ちます。注ぐときは、交互にまわし注ぎをして味を均一にします。

(5)最後の一滴まで、きっちり注ぎ切ります。

▲最後まで絞りきるように。最後だけは軽く振ってしずくを落とします

(6)2煎目の準備として、片寄った茶葉を中央に戻し、蓋をずらして置いておきます。

▲茶葉が注ぎ口のほうに片寄っています

▲手で注ぎ口の反対側をぽんと叩き、茶葉を中央へ

▲中に水分が残っていたり蒸れたりすると、どんどん茶葉の味が出て行ってしまうので、しっかり注ぎ切り蓋はずらしておきましょう

(7)2煎目は少しお湯の温度を上げ短時間で淹れて楽しんだり、同じくらいの温度でゆっくり待ってみたり。1煎目との味の違いを楽しみます

■気になる、保存の仕方

お茶は開封したところから品質の変化があるので、2週間くらいで飲みきるのが理想。となると、案外少ない量で買えば十分なのですが、ついつい、お徳用のたっぷり入った茶葉も買いたくなってしまいます…。

「封を開けたら早いうちに飲みきるのがおすすめですが、そんなときは、2週間ほどで使いきる分を小分けにし、残りが入った缶や袋を密閉して、さらにジップのついた袋などで閉じて冷蔵庫へ。使うときには、常温に戻してから封を開けてくださいね。」

茶葉は消臭作用があるほど匂いを吸ってしまうので、きちんと密閉することが大事。常温に戻す前に封を開けてしまうと、温度変化で結露をしてしまい、葉が劣化してしまうそうです。多めに茶葉を買ってしまったときは少し注意して保存しましょう。

■5月22日(火)まで企画展「日めくり茶展」を開催中

二子玉川KOHOROでは、5月2日の八十八夜を皮切りに、お茶にまつわる企画展「日めくり茶展」が始まりました。


15名の作家の器とともに、KOHOROがオリジナルで作ったお茶や選んだお茶がさまざまに並んでいます。

「ちょっとしたポイントとして淹れ方をご紹介していますが、温度や待ち時間など淹れ方を変えると驚くほど味わいが変わったりするのがお茶の楽しみのひとつです。それぞれの方の好みでいろいろ自由に試して新しい味を発見してもらえたらと思います。」

5月は新茶の季節。色・香り・甘み・栄養、すべてにおいて最も贅沢に楽しめるこの時期、KOHOROにぜひ足をお運びください。

 

「日めくり茶展/KOHORO二子玉川」

参加作家
<陶磁器>井内素・清岡幸道・境知子・境道一・スエトシヒロ・田村文宏・長野大輔・平沢崇義・府川和泉・三浦ナオコ・水垣千悦・山野邊孝
<ガラス>新田佳子・能登朝奈
<木工>落合芝地(5日在廊)

最新情報はKOHOROのウェブサイトをご覧ください。
2018年5月2日(水)から5月22日(火)
コホロ二子玉川(東急二子玉川駅西口より徒歩約3分)

 

 

 

カテゴリ:コホロ, Shop staff lesson

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