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18.01.30
《SHOP STAFF LESSON》ニット作品をフエルト化してみよう!
暮らしについておしゃれについて、ショップスタッフがレクチャーする連載「SHOP STAFF LESSON」。今回は「MOORIT」のスタッフにニット作品をフエルト化する「縮絨」を教えてもらいました。
■縮絨(しゅくじゅう)って何?
みなさんは「縮絨」という言葉を聞いたことがありますか?
ウールをせっけん液などアルカリ性の液に浸し、圧力や摩擦を加えて毛を絡ませて縮めることを「縮絨」というのだそうです。主にフェルトづくりや織物の仕上げに使われますが、ウールで編んだ作品にも応用できます。
縮絨することで編地がしっかりとするので、バッグやルームシューズなどをかっちりと立体的に仕上げたいときにぴったりの技法です。
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▲「編みたい糸で、編みたいパターン」の縮絨シングルハンドルバッグ。縮絨前です。ハリスヴィルデザインズ「ハイランド」を120g使用して、かぎ針8号で編みました
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▲バッグを縮絨したところ。編み目が詰まって編地もしっかり。サイズはひとまわり小さくなっています
MOORITの本「編みたい糸で、編みたいパターン MOORITのパターンブック」でも縮絨について紹介しましたが、今回はより手軽にできる方法をムーリットスタッフのかしわくらに教えてもらいました。
以前、ニットデザイナーのサイチカさんに教えていただいた方法で、コースターやミニバッグなど小さな作品向きの手法だそうです。
■どんな糸がむいているの?
縮絨に向いているのは、防縮加工(スーパーウォッシュ加工)していないウールなど獣毛100%の糸。
特に短い繊維を紡いでつくる紡毛糸(woolen)がよく毛が絡み合って縮みます。
今回はウール100%・防縮加工をしていない「セスタリ トラディショナルコレクション 2プライウーステッド」で編んだポットマットでやってみます。
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▲ポットマットは棒針10号を使いました。作り目27目をしたら、4段かのこ編み。その後、両端3目はかのこ編み、中央の21目をメリヤス編みで30段編みます。最後に4段かのこ編みをして伏せ止めしました
糸始末をしたら、いよいよ縮絨です。どんな仕上がりになるでしょうか。
■それでは、やってみましょう
準備するもの:500mlのペットボトル、キッチン用の中性洗剤、ジップつきプラスティックバッグ(ムーリットジップバッグがおすすめ)、水、ぬるま湯、タオル
(1)編地をぬるま湯(お風呂のお湯くらいの温度)でしっかり水通しをし、軽く絞って水気を切ります。
(2)石鹸水をつくります。500mlのペットボトルに底から5mm位までキッチン用洗剤をいれ、ペットボトルいっぱいに水道水を注いで溶かします。
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▲準備完了です!
(3)(1)の編地をジップバッグに入れ、編地にいきわたる程度に石鹸水を振りかけてジップを閉じます。
(4)ジップバッグの上から、縦・横・斜めといろいろな方向に編地を擦り合わせ、好みのサイズになるまで揉み洗いします。
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▲石鹸水を揉み込んでいきます
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▲タテ・ヨコ・ななめといろいろな方向に編地を擦り合わせ、毛を絡ませていきます
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▲セスタリはラノリンを残した糸なので、脂が落ちて石鹸水が濁りました。石鹸水をこまめに変えながら揉み洗いしたほうがよく縮みます
(5)好みの編地になるまで揉み洗いをして、石鹸水を洗い流して水気をよく切ります。
(6)形を整えて、日陰で干したら完成です。
ペットボトル2本分の石鹸水でしっかり洗いました。縮絨前の編み地と比較してみましょう。
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▲下が縮絨前、上が縮絨後のポットマット。糸についた脂も落ちて白くなったのがよくわかります
目がきゅっと詰まり、サイズはすこし小さくなりました。表面はふんわり毛羽が立っています。肌ざわりもなめらかに。
ほっと一息つきたいティータイムにぴったりの、やさしい雰囲気のポットマットの完成です。
■ほかの糸でもやってみました
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▲ブルックリンツイード「アーバー」を棒針8号でケーブル編みにしたものを縮絨しました(上)。凹凸がつぶれすぎないように、様子を見ながら縮めていきました
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▲アンゴラ糸「インクレディブル100%アンゴラ4ply」を棒針5号でメリヤス編みしたものを縮絨しました(上)。毛が絡み合って表面はホワホワですが、編み地は硬くなりました。シンプルなリストウォーマーを編んで、表面がすこし毛羽立つ程度に軽く縮絨したら素敵かも
今回の方法では様子を見ながらゆっくり縮絨していきますが、一気に縮めたいときはアルカリ性の石鹸やお湯をつかったり、洗濯機を使う場合も。いろいろ試してみるのも面白いですよ。ただし、一度縮めたものは元にはもどりませんのでご注意を・・・
ポットマットやちいさなポーチならほんの少しの糸で完成するので、余り糸の活用アイデアとしてもおすすめです。縮むことを想定して、出来上がりよりもすこし大きめに編むのもポイントです。
手編みの風合いとはまた違った、ウール糸の魅力に出合ってみませんか?
カテゴリ:ムーリット, Shop staff lesson
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